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計画避難区域内の特養ホーム、現地での継続認める

2011年5月17日22時3分

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 菅政権は17日、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い計画的避難区域に指定された福島県飯舘村の特別養護老人ホームや8事業所について、職員や従業員が村外から通い、現状の場所で事業を継続することを特例的に認めた。また川俣町の3事業所についても継続を認めた。

 年間累積放射線量が、20ミリシーベルトを超えないよう自治体が管理することを要件とした。自治体からの要望に応じた措置で、今後、弾力的に運用される可能性も出てきた。

 飯舘村は、避難によりホームに入居する高齢者の体調が悪化するおそれがあることや、従業員の雇用の確保の観点から特例的な対応を求めていた。

 政府の原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)は、放射線管理がきちんとされ、職員や従業員の同意が得られていることを条件として提示。線量が低い室内で作業する▽線量計を従業員に持たせる――などの対策を村がとることで特例を認めた。

 例外が認められたのは、村に唯一の特別養護老人ホーム「いいたてホーム」。106人のお年寄りが入所しており、最高齢は102歳の女性で、平均年齢は84.7歳。要介護度も平均で4だ。うち60人は車いすが必要で、30人は寝たきり状態。ほとんどの人が介助なしでは歩けないという。

 これまでの国の原則では、複数の受け入れ先に避難することになっていた。三瓶政美施設長は「避難の負担によって亡くなったと思われる例も今回の震災では起きている。避難を回避できたことは大きい。職員らの健康管理については、今後国などから具体的な話が出てから進めたい」と話した。

 一方、飯舘村、川俣町以外からは例外適用の申請はなかったが、今後、こうした申請が他の自治体から出てくれば、同様に認められる可能性がある。

 飯舘村の菅野典雄村長は「子どもや若者、老人を一番最初に避難させるのが一般常識だが、避難に伴う健康へのリスクなどに思いを巡らせなければならない。高齢者は一番安心なところに入所している。画期的な判断だ」と話している。(神沢和敬、北林晃治)

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