2011年5月17日11時12分
重さ100トン、長さ30メートルの船が宙に浮かんだ――。東日本大震災で被災した宮城県石巻市の牡鹿半島で16日、津波で打ち上げられた捕鯨船を特殊大型クレーンで海に戻す作業が行われた。
岸壁に打ち上げられた捕鯨船「第28大勝丸」を持ち上げたのは、通常の4倍の重量に耐える大型クレーン2台。船底に布製のつり索をまわしてゆっくり持ち上げ、約20分で海面に浮かべた。
船は石巻港のドックで整備中に津波に襲われ、20キロ近く離れた牡鹿半島まで流された。船体を修理し、6月ごろには三陸沖のクジラ漁に出る予定だ。
作業をした兵庫県西宮市の運送会社、ライト建設は阪神大震災で被災。クレーンはその際、ビル再建にも使われた。復旧が進み、電信柱が立ち始めると船の陸送は難しくなるという。同社の井上信雄さん(50)は「これからも依頼があれば、ぜひ役に立ちたい」と語った。(川端俊一)