2011年5月17日1時0分
2府5県が参加する関西広域連合(連合長=井戸敏三・兵庫県知事)は16日、防災や災害時の連携を協議する有識者委員会の初会合を開いた。東日本大震災の教訓を踏まえて府県を越えた防災対策を協議し、市町村ごとの津波の被害想定や原発の災害時の避難計画などを盛り込んだ関西全体の広域防災計画案をまとめる方針。
発足した「広域防災計画策定委員会」は、国の東日本大震災復興構想会議の委員を務める河田恵昭・関西大社会安全学部長を委員長に、防災の専門家ら11人で構成。この日示された広域防災計画の素案をもとに議論し、最終案を広域連合議会に報告する。
防災計画の柱となる津波の被害想定では、東海・東南海・南海の3地震が連動する前提で検証。国の中央防災会議が今秋以降に見直す府県単位の被害想定を踏まえ、広域連合内の市町村について詳細な想定づくりに取りかかる。
3連動の地震では、東北・北関東一円が被災した東日本大震災のように複数の府県が同時に被害を受けると予想される。府県がばらばらに被害想定をつくるより、広域的な視点で防災計画をまとめれば、各府県の費用負担も軽減できるとみている。
発生すれば複数の府県が巻き込まれる原発事故への対応については、広域連合に加わる各府県が原発立地県に近接しているため、対応を急ぐ必要があると判断。広域防災計画で避難方法や避難者の受け入れ態勢、府県間の連携などを取り決める方針だ。
井戸・広域連合長はこの日、「3連動型の地震では広い地域が被災し、広域連合としてのシナリオを事前に用意しなければ混乱する。いざという時に的確に行動できる準備が必要だ」などと語った。(井石栄司)