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枝野官房長官の会見全文〈16日午後4時〉

2011年5月16日19時2分

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 枝野幸男官房長官の16日午後4時の記者会見の内容は次の通り。

 【2次補正】

 ――首相が衆院予算委の答弁で、2次補正について8月以降になるという認識を示した。政権としての方針なのか?

 「総理の答弁、私、同席の場面じゃなかったので正確に聞いているわけではないが、まずは成立させて頂いた1次補正を速やかに執行して、復旧を前に進めていくと。同時に復興に向けてはそれぞれの地域も様々なプランをお立てになっている、これからお立てになる。国としても復興構想会議で議論頂くと。状況を常に注視しながら、必要性を見ながらだが、復興についてはそうした具体的な中身を見ながら決めていく方針だと、総理も含めて、というふうに認識している」

 ――国会は6月22日の会期末で予定通り閉会するということか。

 「国会の会期については国会でお決めいただく事項だと承知している」

 【斑目氏発言】

 ――衆院予算委では、原子力安全保安院の斑目委員長が答弁で、震災発生当初から格納容器の破裂の可能性を認識し、政権側にも助言していたと説明した。政権側は当初、そこまでの認識はなかったという趣旨だったと思うが、どちらの主張が正しいのか?

 「まず国会で斑目委員長もお話しになっていたが、格納容器内での水素爆発の可能性は、少なくとも当初の段階はないというような趣旨のことをおっしゃっていた。圧が高ければ外から酸素が入らないということなので、内部の水の化学分解以外は酸素がなければ爆発しないということで、そういう風な報告を斑目委員長などからも受けていた。ただ、圧力が高くなれば、圧力が高くなることによって格納容器に破損が生じるという趣旨のことは、どの時点だったかは正確には覚えていないが、まさにそういった可能性があるので、いかに早く圧力を下げるのかに全力を挙げていたということだ」

 ――首相が現地視察した段階で、格納容器が破裂する可能性について助言は受けていなかったということなのか?

 「むしろ、このままベントなどが実施をされずに時間が経過すると、その結果として高い濃度の放射性物質が漏れ出すという可能性が出てくるので、従ってベントがなかなか実施されない状況の中で、そうした状況が続くことに供えて住民の皆さん、10キロ圏内の退避、避難の指示を出したということで、差し迫って破裂をするとかいうことについての何らかの助言などがあったという記憶はない」

 ――ベントが行われなければ漏れ出すとは?

 「要するに格納容器が何らかの形で破損するという可能性。当然、圧力が高くなれば、どこかで限界を超えればそういう可能性があると。それに備えて、そうなってから避難では間に合わないので、早い段階でその可能性がある程度現実的なものになった以上は避難を指示すべきだという認識で避難指示を確か朝方したと記憶している」

 ――首相が視察した際、爆発の危険性は感じていなかったのか?

 「少なくも具体的なリスクとしては、そういった話はなかった」

 【工程表】

 ――政府が原発を含めた今後の対応の工程表を出すという報道があったが、明日にでも決めるのか?

 「明日にでも原子力災害対策本部を開催をする。そこで、経産大臣から提案があるのではないかと思う」

 ――原子力災害対策本部は閣議前後か?

 「私、ロジまでは担当していない」

 【原発事故調】

 ――原発の事故調査委員会の人選はどういう状況なのか?

 「いろんな立場で事故の調査、検証をしていく、あるいは、して頂くことが重要だと思っているが、政府としてのお願いをする検証のチームについては現在、そのスタートに向けて準備を進めている」

 ――スタートはどのくらいと考えているのか?

 「事故発生直後と違って一定程度の落ち着きがある状況なので、できるだけ早い方がいいだろうとは思っているが、本当に第三者性、客観性をもって見識に優れた方にお願いするためには一定の時間が必要かなと思っている」

 【工程表】

 ――3月31日の記者会見で長官は政府としても早くロードマップを示したいと発言したが、4月18日の会見では東電の工程表にとどめ、国独自の工程表までは踏み込まない考えを示していた。最終的には工程表を発表するということだが、姿勢を転じた理由は?

 「東電が主体として形式的にお出しになった工程表も国としてしっかりと関与してつくり、なおかつ、その実現に向けて国としてしっかりと関与していくものだが、形式的にあくまでも東京電力が主体ということで、国が何か引いているかのような誤解を招いている部分があろうかと思う。そうした意味では、国が直接やることは何なのかという国主体の部分はどこなのかということをより明確に示して、東京電力と国がそれぞれの立場で果たすべき責任をしっかりと分担しているという姿が分かりやすく見えた方がいいだろうと私は思っている」

 ――首相が国会答弁で、東電の工程表のおおよその時期については見直さなくてもいいとしているが、その根拠は?

 「一定程度、総理にも特に実務的なところを担っている細野補佐官から報告などがあるんだろうと思うが、私が承知している範囲でも、もちろん、今回東京電力が発表した事故発生直後の1号炉の分析というものは、ある部分、その時点で把握できた情報から推測された状況とは異なる部分があるが、冷却をすることができているという状況が前提になっているので、その冷却をしている水の処理をどうやっていくのかという、今後、あるいは現在から今後に向けての対応について、そのことによって根本的に大きく変わるものではないということだというふうに報告を受けている。従って、大きく工程に影響を与えるものではないと認識している」

 ――政府の工程表は被災者支援に重点を置いたものなのか?

 「中間的な報告は若干受けているが、最終的には経産相の所で整理して明日、提案頂く。東電そのものが行うことに比べて国が直接行うことというのは、より被災者、被害者の皆さんの生活に結びつく部分が大きいのは性格上当然のことだ」

 【原発政策】

 ――今後の原発政策について、岡田幹事長は停止中の原発は再開する趣旨の発言をしているが、政府と党で姿勢に相違があるのではないか?

 「岡田幹事長が正確にどういうニュアンスでどういう発言されたのかまで承知していないが、当面の原子力政策と長期的な原子力政策と原子力政策については二つのフェーズがあるだろう。長期的な原子力政策のあり方については今回の事故も踏まえてゼロベースで検証し、検討する必要があるだろう。当面の原子力政策については安全性の確保が最優先で確保されなければいけない。その長期的な検討がなされるまでの間のあり方として、特に大きな地震が切迫している浜岡を停止をするということの中で、安全性を確保しながら長期的な抜本的なあり方について検討していくということでずれるものではない」

 【放射線量】

 ――民間団体が独自で行っている放射線量の調査を参考にすることはないか?

 「できれば参考のために文科省に民間の皆さんが調査されている結果や調査手法についての報告を頂ければ、そうしたことも参考しながら対応について検討していく。この間も例えば母乳から放射線物質が検出されたというのは民間の皆さんが調査されたのを踏まえて国で直接に行って、安全性を確認した。私が承知しているだけでも早い段階でグリーンピースが国内で調査を行ったものについて、そのデータや調査手法について報告頂いて私の方からもこういったもの十分に参考にするようにということで下ろしたこともある。今後もぜひ民間の方でそういったことをやられている方に情報提供をお願いしたい」

 【東電賠償スキーム】

 ――東電賠償の枠組みの関連法案を国会提出する見通しは?

 「大前提として、東電による資産の売却とか、様々な安全に関わらない経費の節減とか徹底的になされる。資産売却などについては持っている株を一度に売ったら安くしか売れないからいつ売るかという話はあるが、少なくともこれぐらいの資産をトータルでは売却するとか何年かけてこれぐらいのコスト削減するとかということについて、なるほど、関係者、ステークホルダーの協力、こうしたことについて国民的になるほど東電が事業主体として責任を果たしているという理解を得られなければ前に進まない。まず早く成立をとおっしゃる前にそうしたことに向けた情報公開と内部的な努力を進められることが結果的に早く前に進んでいく何よりの要因だ」

 ――すぐに提出できないのは与党内の異論も考慮してのことか?

 「関係しないとは申し上げないが、そうした意見の全て大前提は東電が資産の売却や安全などを除いた経費をどれぐらい削るのか、身を削るのか、あるいはステークホルダーの皆さんにどういう努力を実際にお願いしてその協力を得るのかといったことがはっきりしないと、いずれにしろ理解は得られない話であって、それがまだこれから政府としてもこれから第三者委員会を設けて直接そうしたことについて調査行うわけであり、調査に先立って東電自ら大部分の所をやっておいて頂くことが重要だ」

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