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原発事故、年内にも中間報告 菅政権が収束に工程表

2011年5月14日5時31分

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図:福島第一原発事故をめぐる菅政権の工程表原案(概要)拡大福島第一原発事故をめぐる菅政権の工程表原案(概要)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、菅政権が作成している事故対応や復興、被災者支援などの工程表の原案が、明らかになった。首相が設置を表明した事故調査特別委員会は年内をめどに中間報告をまとめることを明記。今秋にも被災地復興を本格化させるなど、今後の道筋も示した。

 工程表は、政権の原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)で17日にも正式決定、公表される。ただ1号機では最近、格納容器から大量の冷却水漏れが確認されており、工程表原案の原発対応などが修正される可能性もある。

 工程表原案は、東電が4月中旬に公表した事故収束への工程表のスケジュールを念頭に置き、5月中の決定を前提に作成した。東電が示したステップ1(今後数カ月程度)、ステップ2(その後3〜6カ月程度)、ステップ3(中期的課題)の3段階の時間軸を設定し、それに合わせて政権の取り組みの見通しを示している。

 「事故の調査・検証」の項目では、国際原子力機関(IAEA)と日本政府のそれぞれの調査をもとに、6月20〜24日に開かれる予定のIAEA閣僚会議で結果を公表する方針を明示。それとは別に、原子力専門家ら10人程度でつくる事故調査特別委員会を5月中にも立ち上げる。事故原因の究明や再発防止に向けた検証を進めてステップ2が終わる年内にも中間報告をまとめる。

 首相は委員会について(1)従来の原子力行政からの独立性(2)国民や国際社会への公開性(3)制度や組織的なあり方を含めた包括性の3原則を提示。中間報告作成の際、経済産業省原子力安全・保安院や内閣府原子力安全委員会など複数に分かれた原子力行政の是非も論点とし、その後の見直しにつなげる狙いだ。

 工程表では、半径20キロ圏内の「警戒区域の取り組み」では5月から実施している住民の一時帰宅(第1巡)に続き、5月下旬頃から乗用車などの持ち出しを認め、その後に一時帰宅の第2巡を設定した。

 半径20キロ圏外の「計画的避難区域」では、避難先の確保や家畜の移動を行った上で5月下旬頃までに避難を完了。その後は避難先で事業活動支援などを行う。いずれの地域でも、ステップ3の段階でモニタリング評価を行い、区域解除の検討や実施に入る方針だ。

 「被災住民の安心・安全の確保」では、5月中に住民の健康調査を実施し、その後は子どもをはじめとした地域住民の長期的な健康管理に入る。被災地には全国から保健師らが派遣されて避難所を巡回しているほか、放射能に関する健康相談ホットラインの開設、精神科医による「心のケア」対策も始まった。高齢者だけでなく、幅広い世代の健康管理に焦点を当てる。具体的な内容は、工程表の正式決定後、早急に詰める。

 このほか「被災者への賠償」で、当面は東電による避難住民や事業者への一時金仮払いで対応する方針を明示。東電の損害賠償を支援する枠組みの関連法案が秋の臨時国会までに成立することを前提に、本格賠償の受け付けと支払いに入る想定だ。

 さらに「ふるさと帰還に向けた取り組み」も設定し、当面は復興策の検討期間に充て、今秋から本格復興に入る算段だ。

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