2011年5月13日6時47分
浜岡原発の全炉停止による電力不足に対応するため、中部電力は12日、水力発電の強化を目指す方針を固めた。電力需要がピークを迎える夏までに河川からの取水制限の緩和を政府に要請し、より大量の水を発電に活用する。火力発電は燃料費の負担が重いことから、低コストの水力発電強化で補完したい考えだ。
中部電は、国内最大級の奥美濃水力発電所(岐阜県本巣市、発電力150万キロワット)をはじめ、管内に183カ所の水力発電所を持つ。
ただ、2010年度の発電電力量に占める水力の比率は9%にとどまる。個々の発電所の発電力が小さく、火力の75%、原子力の15%と比べると低い。また、河川の水を大量に使うため、自然環境に悪影響が出ないよう取水量も厳しく制限されていることもネックだ。
浜岡原発停止で失われる発電量の大半は火力発電で代替する計画だが、年間2500億円の燃料費の追加負担は重い。水力発電の取水量の制限緩和が認められれば、設備投資なしの低コストで発電量を増強できる。中部電幹部は「水力が強化できれば、夏場の電力の安定供給への効果が大きい」と期待を寄せる。
取水制限の緩和は前例もある。東日本大震災後、東京電力は12カ所の水力発電所の緩和が認められて約7500世帯分の電力を確保している。(信原一貴)