2011年5月11日17時1分
福島県の特産品販売などをする「福島県八重洲観光交流館」(東京都中央区)で、来場者と売り上げが急増している。地震、津波と原発事故、それに伴う風評被害に見舞われた同県を応援しようと、多くの人が訪れ、4月の売り上げは昨年の10倍に膨らんだ。
東京駅にほど近いオフィス街の一角にある観光交流館。4月に入り、週末は外の歩道に長い行列ができる。野菜や菓子、地酒といった特産品を抱えた人たちがレジに並び、従業員は息つく暇もない。
福島県によると、4月の来場者は5万725人で、昨年の4.6倍、売り上げはちょうど10倍の4千万円を記録。5月も昨年の8倍ほどの勢いで売れている。原発事故の影響で村ごとの避難を求められている飯舘村のコメで仕込んだ酒が売られた6日は、一日で約218万円売り上げた。
埼玉県白岡町から来た松原真樹さん(43)は酒の販売を知り、足を運んだ。3月に、原発に近い福島県双葉町の住民が避難していたさいたまスーパーアリーナでボランティア活動をした。「東北の支援のためにできることをしたい。今できるのは買うことです」
富田潤也館長(52)は「応援しようと、まとめ買いする方やおつりを義援金に出してくれる方もいて、とてもありがたい」と感謝。ただ、福島への観光客が落ち込んだままの現状に「せめて(原発事故の影響がない)会津にだけでも戻ってきてくれれば」と訴える。(村上晃一、渡辺元史)