2011年5月10日20時29分
スズキは10日、代表権のある副社長4人を6月29日付で選任すると発表した。経営の重要事項を担わせ、鈴木修会長兼社長(81)が長くトップを務めるワンマンからの脱却を目指す。鈴木会長は会見で「私ももう長くないのでバトンタッチを考えないといけない。4人競って努力してくれればいい」と、副社長から後継者を選ぶ意向を示唆した。
副社長に就くのは、国内営業本部長の田村実専務取締役(62)、四輪技術本部長の本田治専務役員(61)、経済産業省出身で事業開発本部長の原山保人専務役員(54)、鈴木会長の長男で経営企画室長の鈴木俊宏専務役員(52)。4人は4月に新設した経営企画委員会のメンバーで、鈴木会長は加わらない。
鈴木会長は1958年に創業家の女婿としてスズキに入り、78年に社長に就任。米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携やインドでの現地生産を進めた。だが、07年に後継候補の役員が病死。自身も高齢になり、後継態勢が課題だ。鈴木会長は会見で「長いこと1人でやってきたが、これだけの会社の規模になると目が届かない面も出てきた。副社長の4人には、自分が社長になったつもりでやってもらいたい」と述べた。
一方、鈴木会長は、事業拠点の静岡県内にある中部電力浜岡原発が停止することについて、「自動車を生産する相良工場(静岡県牧之原市)は浜岡原発から13キロしか離れていない。中部電力が停止してくれてホッとしている。(停止は)地元企業として高く評価している」と述べた。
さらに節電の必要性も強調し「日本の生活は少しぜいたくになりすぎている。一家で3台のテレビを別々に見るのではなく1台にすることでもいい。もっときちんとした生活に切り替えるべきだ」と持論を述べた。