2011年5月10日16時7分
原子力政策の基本方針を決める内閣府の原子力委員会(近藤駿介委員長)は10日、リスク(危険度)やコストなどをふまえ、今後20〜30年の原発の役割について再検討することを決めた。
東京電力福島第一原発の事故に関する当面の対応について「原子力発電をとりまく社会環境は大きく変化した」とし、事故の検証結果を待たずに重要課題の整理を始めるという。
近藤委員長は10日の定例会で「総理にもお会いして、このことの重要性を申し上げた」と話した。今後、有識者から意見を聴きながら検討する。
原子力委員会が2005年にまとめた原子力政策の基本になる「原子力政策大綱」は、昨年から改定作業を進めていたが、事故を受けて4月に中断していた。
大綱では、使用済み核燃料をリサイクルして使う「核燃料サイクル」の方針を明記。国内の原子力発電の比率を2030年以降は30〜40%かそれ以上を目指すことなども盛り込んでいる。また、燃やした燃料以上にプルトニウムを燃料として増やす高速増殖炉を「2050年ごろ」実用化するとしている。(小堀龍之)