2011年5月10日11時31分
「野口英世」の名を冠したペルーの私立小中学校・幼稚園の子供たちが、野口博士のふるさと福島県の震災被災者を支援しようと募金パーティーを開き、お金を送った。3年前に福島でホームステイをした子たちからの恩返しでもある。
「野口英世学園」は、日系2世の校長宮城(みやしろ)フアナさん(69)が1987年、首都リマ郊外で日系人を対象に設立した。ただ、今では児童の大半が非日系。ペルーを訪れたこともある野口博士にちなみ、貧しくても努力すれば志を果たせる、というメッセージを込めた校名だ。授業でも野口博士の伝記を教える。
同校の児童たちは、野口博士ゆかりの土地を知るため、生家のある猪苗代や会津若松など福島県内を、これまでに3回訪れている。
東日本大震災の直後、「日本のお父さん、お母さんたちは大丈夫?」「助けよう」と、福島を3年前に訪れた15人の子供たちが、宮城さんに訴えた。
宮城さんが卒業生や父母らに呼びかけてパーティーを開いたところ、2千人が参加。約2500米ドルが集まった。ペルーを訪れていた文教大准教授、山脇千賀子さん(45)に託し、福島へ送った。山脇さんは移民研究が専門で、同校児童が福島を訪れた際にコーディネーター役も務めた。
3年前に福島を訪れた子の一人、マルセラ・エレスカノさん(12)は「野口博士のように、大勢を助けられる仕事をしたい」と話している。(リマ=平山亜理)