2011年5月9日19時35分
東日本大震災の津波で太平洋に押し流された家屋や自動車に船、生活用品などが、がれきとなって3年で北米の西海岸に漂着。その後、西に逆流し、5年後には米ハワイの砂浜にも押し寄せる――。
ハワイ大マノア校国際太平洋研究センターが、海流などの動きから分析した。「大量かつ集中的な漂着となるため、海の生態系や水産業にも悪影響をもたらしそうだ」としている。
予測では、1年後の2012年にハワイ諸島の北側に近づき、14年には米西海岸のカリフォルニア州やアラスカ州、カナダのブリティッシュコロンビア州、メキシコのカリフォルニア半島などに達する。その後、風や海流に乗って西に逆流。太平洋にはもともと、様々な漂着物の吹きだまりとなる帯状の海域「北太平洋ゴミベルト」があり、そこに入って細かく砕けた末、16年にはハワイに押し寄せる計算だという。
ハワイでは近年、砂浜に打ち上げられる海洋ゴミが問題になっている。その量が津波のがれきで一気に増える見込みで、「特に今回は道路標識など街のあらゆるものが流され、プラスチック中心の通常の海洋ゴミとはタイプが違ってくる」と、調査に携わったジャン・ハフナー氏はみている。
結果、海鳥やウミガメなどの海洋生物が誤ってのんで死ぬ危険や、海洋自体の汚染が加速しかねない。漁船など海面に浮きやすいものは風の影響を受けやすく、予測より早く到達する可能性もあるという。(ロサンゼルス=藤えりか)