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中部電、浜岡原発の全炉停止決定 計画停電は回避へ努力

2011年5月9日19時50分

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【動画】浜岡原発の停止受託を発表する中部電力の水野明久社長

写真:記者会見で浜岡原発の停止受諾を発表する中部電力の水野明久社長=9日午後5時50分、名古屋市東区、恵原弘太郎撮影拡大記者会見で浜岡原発の停止受諾を発表する中部電力の水野明久社長=9日午後5時50分、名古屋市東区、恵原弘太郎撮影

 中部電力は9日午後に開いた臨時取締役会で、菅直人首相の要請を受け入れ、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全炉を数日中に停止することを決めた。東海地震による原発事故への不安解消を優先したことに加え、2〜3年後の運転再開へのめどが立ち、菅政権から電力供給などの支援の確約も得られたと判断したためだ。

 水野明久社長が記者会見し、運転停止を発表した。「長期的には、いったん停止し、さらなる安全対策をとった上で運転再開することがお客様、株主にとって利益があると、取締役の意見が一致した」と述べた。

 水野社長は8日に海江田万里経済産業相と電話会談した。そのなかで、防潮堤建設などの津波対策を終え、経産省原子力安全・保安院の評価を得た時には全面再開できることなど5項目を確認した。停止に伴う火力発電所の燃料費増加負担に対して国が支援することも含まれている。中部電は2〜3年はかかるという防潮堤建設を急ぐ。

 中部電の発電電力量に占める浜岡原発の比率は2010年度実績で約15%。これを埋め合わせるため、今後、停止中の武豊(たけとよ)火力発電所(愛知県武豊町)3号機を急きょ稼働させ、東京電力や東北電力への融通をとりやめる。

 それでも、夏場の需要ピークを上回る余裕電力の比率は、7月には、適切とされる8〜10%を大きく下回る2%まで落ち込むため、関西電力など西日本からの融通も求めて計画停電の回避に努力する。

 ただ、火力発電の出力増強に必要な燃料調達は「大変厳しい」(水野社長)。調達量を増やすため中東カタールを訪問していた三田敏雄会長もこの日の取材に「調達できる量や価格はこれから」と述べた。このため、「電力需給対策本部」を立ち上げ、企業や家庭への節電も呼びかけていく。

 一方、中部電は1300億円の営業黒字を見込んでいた12年3月期業績見通しを白紙にした。原発停止分をすべて火力発電でまかなえば、年間2500億円の費用が余計にかかる計算。電気料金を値上げしない場合は、同社初の営業赤字に転落する可能性が高いが、水野社長は「現行料金の中で努力していきたい。値上げは現時点では考えていない」と述べた。

 中部電力が浜岡原発の全炉停止を決めたことを受け、菅首相は9日、記者団に「電力が足らなくならないよう力を入れたい」と話した。

 海江田経産相は臨時の記者会見で「多くの困難があったと思うが、迅速に対応していただいたことに深い敬意を表したい」と述べたうえ、「金融支援などを最大限検討する」と表明した。浜岡原発停止後の周辺自治体への交付金についても「2年間はこれまで通り交付され、2年後以降も減額されない」と明言した。

 一方、浜岡原発以外の現在運転中の原発の継続や、定期検査中の原発の再開については「安全上支障がないと考える」とした。

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