2011年5月6日2時2分
京都特産の北山杉を杭に加工し、東日本大震災の被災地・福島県へ仮設住宅用に送る取り組みが続いている。この冬の大雪で多くが倒れ、丸太材にできなくなった銘木を有効に使ってもらおうという試みだ。関係者は「復興の礎になれば」と願っている。
震災1週間後の3月18日、北山杉の生産者らでつくる京北銘木生産協同組合(京都市右京区京北)に、仮設住宅用の杭1万本の注文が被災地側からあった。京都市北部の北山杉は、枝に降り積もった雪の重みで4月中旬までに約16ヘクタールにわたって倒れるなどの被害が出て、主力商品の丸太として出荷できなくなっていた。
組合理事長の米嶋昌史さん(53)は「スケールは違うが、同じ自然災害を受けた者として、他人事に思えなかった。雪の被害を受けた木でも使えるのなら、ぜひ役に立ちたいと思った」と振り返る。
組合は通常より高値で被害木を買い取ることにし、組合員に呼びかけた。「有効に使ってもらえるなら」と、組合員でない北区の生産者も含め約20人から原木が持ち寄られた。
杭はプレハブの仮設住宅の基礎として埋め込む。長さ90センチに加工し、4月30日までに約1万本を生産。順次、福島に向けて発送している。仮設住宅の建設予定戸数が増えていることから、5月末までにさらに約1万本を作るという。
米嶋さんは「燃料用のチップにするしかなかった杉を有効に使ってもらい、北山杉の生産者にとっても復興の励みになれば」と話している。(竹野内崇宏)