2011年5月2日22時42分
東日本大震災の復興ビジョンを描く「復興構想会議」(議長・五百旗頭真〈いおきべ・まこと〉防衛大学校長)が2日、最初の視察先として福島県を訪問した。原発事故を抱え、復興で他県から取り残される懸念に配慮した。ただ、地元側からは「まず事故収束を」との訴えが続出。復興をめぐる具体的な議論には踏み込めなかった。
福島県の佐藤雄平知事は福島市内で2日午前、「何としても事態の収束を皆さんにもお願いしたい」と、五百旗頭氏ら委員5人に強く訴えた。委員はこの日、南相馬市、飯舘村など原発周辺の4市町村を視察。五百旗頭氏によると、自治体の首長からは原発の半径20キロ圏内の「警戒区域」の見直しを求める声もあった。
これに対し、構想会議側は、政府に事故の早急な収束や、第三者機関や国際機関による事故原因究明を要請する方向で検討する考えを伝えた。五百旗頭氏は記者団に「現地に来て、原発の問題が終わらなければ復興のスタートラインにつけないと感じた。何ができるのか改めて考えないといけない」と話した。
構想会議の委員は4日に宮城県、7日に岩手県を訪問する予定。