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放射線業務担当外の女性4人が被曝 震災後も原発で仕事

2011年5月1日22時3分

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 福島第一原発で、放射線業務従事者ではない女性職員4人が東日本大震災の被災後も発電所内に残り作業を続け、被曝(ひばく)していたことが1日、わかった。4人は本来なら被曝する作業をするようなことはない立場だ。被曝量は2.27〜3.42ミリシーベルトで、東京電力はすぐに健康に影響するようなレベルではないとみているが、管理態勢を見直すという。

 東電によると、福島第一原発では地震発生時に19人の女性が働いていた。このうちの4人が一般の職員で、被災後も発電所内に残って免震重要棟で事務作業をしていた。この間に、建屋を吹き飛ばした爆発などによって飛散した放射性物質を吸い込み被曝したとみられている。

 被曝する可能性がある作業に就く放射線業務従事者は、労働安全衛生法の規則に基づき、放射線管理区域で作業する場合には線量計をつける。計測機器で定期的に被曝量を測り限度線量を超えないよう管理されている。

 放射線業務に従事しない人はこうした管理はされておらず、限度も設定されていない。男性は緊急時には放射線業務従事者でなくてもとりあえず作業することは認められているが、女性はできない。今回は発電所全体に放射性物質が飛散する状態となり想定外の被曝になった。東電では今後、後付けながら放射線業務従事者として登録し管理する。

 また、爆発時に放射線業務従事者でない一般の男性職員や関連企業の男性職員も数多く働いていた。女性は3月23日以降は発電所では働いていないが、男性は現在も発電所内で作業している。今後放射線業務従事者として状況を確かめながら順次登録するとしている。

 東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「今回の被曝は結果的に申し訳ない。ただ、当時情報整理など必要な仕事に従事していた。また、事故発生時の免震棟の放射能汚染について(私たちの)認識が甘かった」と話した。

 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「東電は普通に対応できる状況ではなかったのだろう。どう評価するか東電の報告を受けてから検討する」としている。

 また、東電は1日、19人のうち放射線業務従事者として働いていた15人の被曝線量の調査結果も公表した。妊娠の可能性がある女性の被曝量は男性よりもきめ細かく設定されており、上限「3カ月で5ミリシーベルト」で、これを超えたのは2人だった。

 4月27日に東電が公表した原子炉への注水や放水に当たる消防の案内などをして17.55ミリシーベルト被曝した50代の女性に加え、作業員の体調管理にあたっていた40代の女性が7.49ミリシーベルト被曝していた。2人とも体調に異変はみられないという。(東山正宜、小宮山亮磨)

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