2011年5月1日5時0分
宮城県南三陸町を津波が襲ったあの日。避難した真っ暗な学校の中で、町立志津川中学校の生徒たちが自分たちを励ますように歌ったのは、翌日の卒業式のために練習してきた人気グループ、EXILEの曲だった。今も避難所になっている学校を30日、EXILEのメンバーが訪れ、卒業生と一緒にその曲「道」を歌った。
訪れたメンバーは、リーダーのHIROさん、MAKIDAIさんら4人。この日、志津川中であった復興支援の行事に参加することは、主催者らを除いて内緒にしていた。突然の登場に驚く生徒たち。「ずっとファンだったんです。力になりました」。卒業生の一人、佐藤優衣さん(15)は興奮して話した。
イベントの後、4人のサインが書かれた大きな写真を手にしていたのは佐藤利輝さん(15)。写真店を営む利輝さんの父親が卒業前、3年生全員を集め、廃虚となる前の町を一望する坂の上で撮った記念写真だ。津波で流されたが、2週間後に数百メートル離れたがれきの中から見つかった。
友だちの多くは今も避難所で暮らす。地元を離れた仲間もいる。全員が写った1枚は、仲間が一緒に過ごした証しとして、志津川中に残されることになった。(浅倉拓也)