2011年4月29日8時29分
日本三景に数えられる宮城県の松島で29日に観光船の運航が再開される。28日には事業者が試験航行して安全を確認した。大小230の島々が浮かぶ松島湾は地震や津波の影響で形を変えた島もあるが、おおむね以前の風景をとどめる。大型連休での再開を機に、地域の復興に勢いをつけたいという。
湾内で最も知られる仁王島には、養殖用の網やロープがからまったまま。観光船を運航する「松島島巡り観光船企業組合」が28日午前から撤去に当たったが、荒波で作業は思うように進まなかった。同組合の伊藤章理事長(62)は「復興への第一歩。津波被害の跡をお客様にはお見せできない」と、再開する29日朝に再び撤去作業にかかるという。
松島観光協会によると、震災時、松島には約千人の観光客がいたが、全員が避難して無事だった。島々が天然の防波堤代わりとなり、被害を最小限に食い止めたという。沿岸に並ぶ土産品店やホテルなどは浸水被害を受けたが、約40の店舗やホテルが大型連休までに営業を再開した。(二階堂祐介)