2011年4月29日0時27分
中部電力は28日、東海地震の震源域である静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所3号機を7月に再稼働することを前提とする、2012年3月期の業績見通しを正式発表した。7月に原子力本部を新設して副社長を本部長に充てる人事や、大規模災害対策を最優先課題とする経営計画も同時に発表。津波対策と合わせ、3号機の再稼働に理解を得る狙いだ。
原発の再稼働には、地震や津波が起きた時の安全性の観点から地元自治体の反発が強いが、水野明久社長は「安全性については十分確認している。さらに安全性を確かめるために緊急の津波対策もする」と説明。夏場は電力需要が増えることから「浜岡原発がない場合、電力の安定供給がかなり難しくなる」とも指摘し再稼働への理解を求めた。
今年度の経営計画には「原発の安全性確保を始めとする大規模災害対策を最優先する」と明記。現在の発電本部から原子力を独立させる組織改革も打ち出し「浜岡原発の津波や災害対策を一段と強化する」姿勢を強調した。
中電は今後2カ月間かけて津波対策などを地域住民に説明。合意を得たうえで再稼働したい考えだ。しかし、静岡県や御前崎市など地元自治体の首長らは再稼働について慎重な姿勢を崩しておらず、交渉の難航は避けられそうもない。
定期検査中の3号機が7月から再稼働する前提でたてた12年3月期の業績見通しは、売上高は前年同期比8.5%増の2兆5300億円となるが、純利益は550億円と35%減る。液化天然ガス(LNG)や石油など燃料価格の高騰で2期連続の大幅減益を見込む。(大月規義)