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お年寄り6割、日常生活が不自由に 4避難所で調査

2011年4月28日6時15分

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図:生活不活発病チェックリスト拡大生活不活発病チェックリスト

 避難所で日中を過ごすお年寄りの6割が、東日本大震災前より、床から立ち上がったり、歩いたりするのが不自由になっていることが、専門家の緊急調査で分かった。じっとして過ごす時間が増え、生活が不活発になったためという。震災から1カ月がたち、日常生活での動作の衰えを訴える人の割合も増えている。

 調査は国の中央防災会議の専門調査会委員で、国立長寿医療研究センター生活機能賦活研究部長の大川弥生医師が仙台市や市医師会の協力を得て実施。震災から1カ月前後に、市内の4カ所の避難所(利用者計1045人)でチェックリストを使って調べた。

 対象は、平日の昼に避難所にいた65歳以上のお年寄りで、被災前に介護保険の要介護認定を受けていない人や、受けても介護や支援が必要ないと認定された人計102人。

 歩行や着替えなど日常生活動作(ADL)が「難しくなった」と答えた人は64人で、62%にのぼった。中には一部介助が必要な程度に悪化した人も7人いた。

 内容(複数回答)で最も多かったのは「歩行」の48人(47%)で、「床からの立ち上がり」36人(35%)、「段差の昇降」25人(24%)、着替えなど「歩行・移動以外のADL」16人(15%)が続いた。

 日中の活動性との関係では「座っていることが多い」と答えた人(49人)に悪化していた割合が最も多く87%(43人)だった。「避難所の外でよく動いている」と答えた人(33人)でも、15%(5人)に何らかの悪化が見られた。

 大川さんによるとこうした「生活不活発病」は震災直後だけではなく、適切に対応できないと、中・長期に及ぶおそれがあるという。

 2004年の新潟県中越地震では、同県長岡市で地震前に介護保険の要介護認定を受けていないお年寄りら1626人の30%にあたる496人が「歩行が難しくなった」と答え、このうち176人(36%)は半年後も回復しなかった。

 大川さんは「本人はもちろん家族のためにも、介護が必要な状態にならないよう、何らかの作業に加わってもらう、杖や手押し車などを用意するなどお年寄りの生活が活動的になるよう工夫してほしい」と話す。

 日本理学療法士協会の半田一登会長は「地震と違って津波で何もかも失い、家の片づけや思い出の品を取りに行こうという動機が持てないでいる人が多い」と指摘。「被災地を離れ、他県の避難所へ避難した人たちも同じ。若くても2週間動かないと、かなりの筋力が衰えるので、元気でいる目標や動機が持てるよう支援してほしい」と話す。(寺崎省子)

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