2011年4月28日13時9分
東日本大震災の被害が特に大きかった岩手、宮城、福島の3県で、震災後に失業手当の受給手続きを事業所を通じて始めた人が計約7万人に上ることが各県の労働局の集計でわかった。うち、これまでに昨年同時期の2倍以上の約4万人の手続きがすんで、失業手当の受給が決まった。被災したため手続きが遅れている事業所も多く、受給者は今後さらに増える見込みだ。
失業手当を受けるために必要な離職票・休業票交付数は岩手が1万8934人、宮城が3万6887人、福島(震災理由のみ)が1万3807人で、計6万9628人。震災前に3県で雇用保険に加入していた計150万人余りの4.6%に当たる。3月11日の震災発生後から4月下旬までに各地のハローワークが交付した件数を各労働局がまとめた。
このうち休業票の交付手続きがとられた人数は、岩手が1628人、宮城が4725人、福島が8331人。被災地では、解雇や退職だけでなく、休業状態の人も失業手当が受けられる特例が適用されている。
離職票・休業票は、事業主が交付手続きを行う。岩手、宮城はすべてが震災が理由ではなく、自発的な退職や定年退職も含まれる。
失業手当は最長360日間(1次補正予算案で60日延長予定)、在職時の給与の5〜8割を受けとることができる。被災地域のハローワークでは、受給申請の手続きが数時間待ちになっているところもある。宮城労働局は「今も大量の離職票交付が続いており、今後も受給者は増える」と説明する。
一方、3月の有効求人倍率は岩手が前月比0.03ポイント減の0.47倍、宮城が同0.01ポイント減の0.50倍、福島が同0.01ポイント減の0.49倍で悪化は小幅にとどまった。求人だけでなく求職者も減ったためだ。
労働局の統計には、被災地に多い農家や漁師らの個人事業主の失業者は含まれていない。被災地で仕事を失った人には、引き続き地元で仕事を見つけたいという希望が多く、復興には現地での雇用創出がかぎを握る。厚労省の22日現在のまとめによると、被災者向けの求人数は全国で2万5937人分あったが、うち、3県の事業所は約1割で、大半が県外だった。