2011年4月28日11時46分
日本銀行は28日午前、金融政策決定会合を開いた。東日本大震災の被災地にある金融機関に通常より低金利で貸し出す新制度の詳細を議論し、5月にも融資を始める見通し。当面の金融政策は「現状維持」とする公算が大きい。
新たな融資制度は前回4月7日の決定会合で導入を決め、開始時期などの詳細を検討していた。融資の総額は1兆円。返済まで1年間の資金を年0.1%の低い金利で貸し出す。被災した東北や関東地方の7県に営業所がある銀行や信用金庫、信用組合など180社程度を対象にする。
日銀は1995年の阪神大震災の後にも、被災地の金融機関向けに低金利での貸出制度を導入。今回の新制度は融資枠を当時の5千億円から倍増させた。被災地での復旧が本格化して、資金の需要が高まれば、融資の枠を広げる。
当面の金融政策については、政策金利(金融機関がお互い無担保で翌日返済する取引の金利)の誘導目標を年0〜0.1%とする事実上の「ゼロ金利政策」を維持する公算だ。会合の決定内容は白川方明(まさあき)総裁が28日午後の記者会見で説明する。
会合では、半年ごとの「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)もまとめ、今年度の経済成長率の見通しを大きく引き下げる方向だ。大震災の影響で、一時的な景気悪化が避けられないとみている。
日銀は、年2回(4月と10月)の展望リポートで、実質国内総生産(GDP)の成長率や消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しを公表している。今回は2012年度までの景気・物価の見通しを示す。
今年度の実質GDP成長率見通しはこれまでは1.6%増にしていた。だが、震災で部品の供給が止まって生産が低下し、電力不足も重なり、一時的に悪化する可能性が高い。このため、成長率見通しを引き下げる方向だが、秋に向かって景気は回復軌道に戻っていくという見方も強めており、プラス成長は維持する。
12年度の成長率見通しはこれまでの2.0%増より引き上げる公算が大きい。将来、震災の復興需要が成長率を押し上げることを見込んでいる。