現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事

出荷停止以外も賠償対象、風評被害にも 紛争審1次指針

2011年4月28日3時1分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 東京電力の原発事故に伴う損害について、だれにどこまで賠償するのか判定する目安となる1次指針の最終案が27日、判明した。国の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久学習院大教授)が28日に正式決定する。農漁業の賠償対象については、出荷停止以外の自粛も賠償対象と認定。風評被害や避難住民の精神的苦痛に対する賠償も、2次指針以降で早期に救済する方針を示した。

 1次指針は22日の第2回会合で、事務局から論点整理のための原案が示され、大筋合意していた。最終案は原案を大筋で踏襲した。

 出荷停止による漁業被害だけでなく、福島県の漁業者の操業自粛も対象とする点は、新たに加えた。自治体の要請による出荷自粛も全般的に賠償対象に含めた。

 1次指針は、今回の原発事故の被害規模や範囲が、1999年のジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故をはるかに上回り、被害者の生活状況は切迫していると指摘。原子力損害に該当する可能性の高いものから順次指針として提示し、可能な限り早期に被害者救済する方針を明確にした。

 農漁業者への賠償については、政府による出荷制限を受けた区域・品目の損害に加え、自治体から要請を受けて出荷を自粛したケースを優先的な賠償対象と認定。出荷できなくなった農産物の廃棄費用や、出荷制限品目を仕入れた流通業者が販売できずに被った減収分も、原案通り1次指針の賠償範囲に含めた。

 1次指針で賠償の方向性が示された風評被害の賠償については、出荷制限がかかった地域や品目以外にも対象を広げる考えを打ち出した。対象範囲は今後詰めるが、審査会では、一部が出荷制限対象となった福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県について、各県の全域を対象に、出荷制限の対象外の農産物も含めて、賠償対象に含める方向で議論が始まっている。

 食品の原産地表示は原則として都道府県単位で、消費者は商品を買うかどうかを決める際、それ以上詳しい判断材料を得るのが難しいことを踏まえた議論だ。ホウレンソウなど一部品目が出荷制限を受けた地域では、他の農産物にも放射性物質の影響が及んでいる可能性も勘案している。

 審査会は当初、7月までに指針の大枠をまとめる方針だったが、風評被害については前倒しで追加の指針を出す方向で検討を急ぎ、早期救済をめざす。

 生命・身体的損害を伴わないものも賠償対象に含める方向で引き続き検討する。精神的損害の賠償額を具体的に算定するのは難しいが、避難先や避難の期間などに応じて対象者を分類し、類型ごとに賠償額を決める考え方を示した。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧