2011年4月27日15時1分
米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は27日、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」(弱含み)に引き下げたと発表した。
長期国債の格付けそのものは、21段階のうち上から4番目の「AAマイナス」を維持した。しかし、東日本大震災や原発事故の影響で復興に向けた費用がかさむ可能性に触れ、「大規模な財政再建策が策定されず、(日本の)財政が予想以上に悪化すれば、格下げとなる可能性がある」と指摘している。
S&Pは被災地の復旧・復興費用を20兆〜50兆円と想定。その大半を国や地方自治体が負担するとみて、増税などで新たな財源が確保されない限り、日本の政府債務残高の対国内総生産(GDP)比率は2013年度に145%になると試算した。
菅政権は、東日本大震災の復旧対策を盛り込んだ4兆円規模の第1次補正予算案を28日に国会に提出する方針。だが、本格的な復旧に向けてはより大規模な財源が必要で、消費税や所得税などを期間限定で増税することも視野に入れている。
S&Pは今年1月、日本の国債格付けを「AA」から「AAマイナス」に1段階引き下げていた。この時は見通しを「安定的」としていた。
野田佳彦財務相は27日午後、報道陣に「民間格付け会社の格付けに逐一コメントは差し控える。大震災の復旧・復興と財政健全化の両立を図ることが大事だ。1次補正予算案も国債を追加発行せずに財源を確保しており、こういう姿勢で内外の信認を確保していきたい」と話した。