2011年4月25日23時37分
国土交通省は25日、7万2千戸が必要とされる被災者向けの仮設住宅について、5万2千戸分で用地確保のめどがついたと発表した。うち3万戸は当初の目標通り5月末までに完成できる見通しで、岩手県は7月末、福島県も9月末までに建設を終える予定。しかし、宮城県は6月以降の見通しが立っていない。
用地確保のめどがついた5万2千戸の内訳は、岩手県1万2678戸、宮城県2万8295戸、福島県1万865戸。
3県の中では岩手県が最も順調で、7月末には建設が完了すると見込む。福島県は今後、1万4千戸分の用地確保が必要だ。福島第一原発の事故で自治体ごと避難した市町村がどこに仮設住宅を建てたいかを確定できれば、用地の確保は進むとみられ、県は9月末には建設を終えられると見込む。
一方、宮城県が確保できた用地のうち、1万1525戸分は被災していない市町村にある。被災者は自分たちの住む市町での生活再建を望んでおり、今後、県と被災した市町との間で調整が必要になる。このため、県は6月以降の見通しを「未定」としている。
国交省は5月末までの「3万戸完成」を目標に掲げてきた。仮設住宅は着工から完成までに3週間かかるため、3県が5月10日までに3万戸分を発注することが目標達成の前提だ。今月25日時点で3県の発注はまだ計2万戸だが、今後2週間で1万戸の発注はできるという。
6月以降、残る4万2千戸の仮設住宅の建設を進めるには、さらに約2万戸分の用地確保が必要だ。宮城、岩手両県では被災地に近い大きな公有地の多くはすでに建設用地になっており、今後は私有地の借り上げも視野に入れる必要があるという。
仮設住宅の建設と並行して、3県は1万2200戸(福島1万戸、宮城2千戸、岩手200戸)を目標に、民間賃貸住宅を仮設住宅代わりに借り上げる作業も進めている。
現在3県にいる避難者は現在計約11万人。政府は第1次補正予算案で、仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の借り上げで計約10万戸を確保するため、3600億円を計上している。
3県は、避難者数や市町村の要望を踏まえて大まかな必要戸数を算出しているが、今後、同居予定の人数といった具体的な聞き取り調査を行い、最終的に建設する仮設住宅の戸数を確定する予定だ。(歌野清一郎、坂田達郎)