現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事

ジャズの故郷へ感謝のスウィング 楽器提供受け再起

2011年4月25日5時33分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:ニューオーリンズからの支援で届いた楽器を演奏する子どもたち=24日午後、宮城県気仙沼市、川村直子撮影拡大ニューオーリンズからの支援で届いた楽器を演奏する子どもたち=24日午後、宮城県気仙沼市、川村直子撮影

 感謝の音色、海の向こうへ届け――。宮城県気仙沼市のジュニアジャズオーケストラ「スウィング・ドルフィンズ(SD)」が24日、被災後初のコンサートを市内の避難所で開いた。津波で大事な楽器を失ったが、ジャズ発祥の地・米国ニューオーリンズからの支援で再起にこぎ着けた。

 SDは1993年に発足した。メンバーは市内の小学5年〜中学3年。仙台市のジャズフェスティバルの常連だが、津波で練習場や楽器が流され、活動は危機を迎えていた。

 ニューオーリンズの子どもたちに楽器を贈る活動を続けてきた音楽家・外山喜雄さん(67)が人づてにSDの窮状を知り、橋渡し役に。ニューオーリンズのライブハウスが「2005年のハリケーンの時にも日本からの義援金や楽器の寄付で助けてもらった。今度は我々の番だ」と楽器購入費1万1千ドル(約90万円)を寄付。トランペットやサックス、トロンボーン計14本がSDに届いた。

 今月中旬、ぴかぴかの楽器と対面したメンバーからは「きゃあー、すごい」と歓声が上がった。気仙沼中3年、昆野実花子さん(14)は「最後の1年なのに、全く活動できないと思っていたので、本当にうれしかった」。

 この日、メンバー24人は「音楽ができる喜びと感謝」を胸に「聖者の行進」や「故郷(ふるさと)」など計5曲を演奏。会場の市総合体育館前ステージに集まった被災者ら約400人はリズムに合わせて体を揺らし、拍手した。自宅が流された気仙沼市の藤江初枝さん(74)は「感動、感激です」と涙を流した。

 メンバーの同中3年小野寺貴子さん(14)は「皆に元気を与えたいと思って演奏した。拍手をもらい、自分もとっても楽しめた」。SDを指導する須藤丈市さん(52)は「活気ある気仙沼を思い出してもらえるような演奏をした。今後の子どもたちの成長をみなに楽しみにしてもらいたい」と話した。(山本亮介)

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧