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被災病院、4割が診療制限 浸水・余震、復旧阻む

2011年4月24日3時17分

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図:岩手、宮城、福島3県の沿岸部の医療機能状況拡大岩手、宮城、福島3県の沿岸部の医療機能状況

 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県沿岸部で、震災から1カ月以上たった今も、外来や手術、入院などの診療を制限している病院が43%に上ることが、朝日新聞社の調査で分かった。入院機能(病床ベース)も74%までしか回復していない。医療支援のチームが避難所を中心に軽症患者を診ているが、入院が必要な治療は綱渡りの状態が続いている。

 調査は15〜22日、3県の沿岸部の九つの2次医療圏(仙台医療圏は沿岸部のみ)の116病院の復旧状況や診療所、医療支援チームの動向を病院、保健所、医師会に取材した。

 医療圏ごとに医療機能の回復状況を比較すると、岩手県釜石市を中心とした釜石医療圏の遅れが目立った。6病院のうち、3病院で診療の制限があり、利用できる入院ベッド数は、震災前と比べると全病床の約半数にとどまる。最多の272床をもつ県立釜石病院は耐震補強のため、26床しか使えず、手術再開の見通しもたっていない。

 宮城県石巻市を中心とした石巻医療圏では、利用可能な病床数が、震災前の74%までしか戻っていない。石巻市立病院(206床)や恵愛病院(120床)などの病棟が浸水し、入院が必要な医療を提供できなくなった。診療制限は13病院中7病院で続く。

 同医療圏で最大の石巻赤十字病院(402床)は、被災を免れたが、周辺地域の重症患者を一手に引き受けているため、緊急以外の手術は今もできていない。

 福島第一原発がある福島県の相双医療圏。原発から半径20〜30キロ圏は緊急時避難準備区域になり、入院は原則認められていない。南相馬市では住民が戻りつつあるが、病床は10床しかない。

 病院が十分に機能できていない主な理由は、浸水で病床や医療機器が使えなくなったり、余震が続く中、建物の耐震性に問題があったりするためだ。

 地元の診療所も影響を受けている。岩手、宮城両県では、711診療所のうち、約110カ所が今も休診中だ。宮城県気仙沼市を中心とした気仙沼医療圏は半数以上が再開できていない。

 一方、全国から171の医療支援チームが現在、3県沿岸部で活動している。だが、5月の連休をめどに縮小していく傾向だ。

 厚生労働省は今年度の補正予算案で、病院を復旧させる費用や仮設診療所の設置の補助金を盛り込んだ。 担当者は「今後は通院や入院の機能をどう回復していくかが課題だ。地域医療の再建はまちづくりの全体構想と併せて、地元の取り組みに応じた支援を考えていく」と話している。(下司佳代子、斎藤孝則、月舘彩子)

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