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避難所にいた女性から結核菌 集団感染の有無調査

2011年4月23日18時45分

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 東日本大震災で被災した宮城県の80歳代女性が、入院した病院で肺結核と診断されたことがわかった。女性は震災直後の3日間、県北部の避難所で暮らしていた。管轄の保健所は、当時の女性に症状があれば周囲への感染の可能性があるため、家族や周辺にいた人の感染の有無を調べている。

 厚生労働省によると、被災地周辺の結核患者は現在集計中で、個別症例が判明したのは初めてという。

 22日の日本呼吸器学会で報告された。東北大大学院の感染症診療地域連携講座の国島広之医師によると、女性は今月3日からせきやたんが目立ち、食欲不振やだるさも訴えていた。肺炎や心不全が疑われ県内の病院へ入院したところ、たんから結核菌が検出された。現在も専門的な治療を受けているという。

 女性は震災後、避難所で3日間過ごした後、近くの親類の家で避難生活を送っていた。肺結核は潜伏期間が長いため診断が遅れて集団発生が出る恐れがある。国島さんは、本人や周辺の健康チェックを怠らず、手洗いやマスク着用、人に向けてせきやくしゃみをしないなどのエチケットを徹底するように呼びかけるとともに「せきが長引けば、病院を受診してほしい」と話している。

 結核を発病した人に接触しても全員が感染するわけではなく、仮に感染しても、発症割合は1〜2割程度と低い。栄養や睡眠不足などで極端に免疫力が落ちている場合などが、リスクの高い状態だ。

 国島さんによると、宮城県内では、震災後の1カ月間に疑い例も含めて9人が肺結核で入院した。例年の同時期に比べ、大きな増加はまだ見られないという。(熊井洋美)

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