2011年4月23日17時24分
〈わたしなら平気平気と身を削る〉三浦昌子(宮城)
〈避難所の赤子泣け泣けたんと泣け〉山河舞句(宮城)
神戸市を拠点に、川柳誌「現代川柳」を出す現代川柳研究会が東日本大震災に寄せる作品を募り、臨時増刊号「明日への祈り」を発行した。被災した東北地方をはじめ各地から応募があり、悲しみ、怒り、希望、祈りに満ちた句が集まった。
インターネットやツイッターも使った呼びかけに応えたのは17歳から96歳まで116人。巧拙を超えてだれもが抱いたに違いない思いが17文字から伝わる。
〈目が痛いこころも痛い皆痛い〉岸本きよの(兵庫)
〈誰が揺らすのなんで揺らすの もうやめろ〉徳道かづみ(東京)
〈ここにいるここにいるのに届かない〉佐藤憲治(大阪)
〈被災地へごめんごめんと飯の湯気〉平戸公子(大阪)
そして祈り。
〈被災地の句を抱きしめる強く抱く〉杉山昌善(神奈川)
〈明日がある 思わなくては生きられぬ〉横田ゆき(兵庫)
編集にあたった川柳作家渡辺美輪さん(45)は、阪神大震災直後に故・時実新子さんらの呼びかけで編まれた震災句集「悲苦を超えて」に出合い、川柳を作り始めた。「私自身、〈天焦げる天は罪なき人好む〉といった新子先生の震災句によって、無力感から抜け出すことができた。まだまだ、句にできない方もたくさんおられると思いますが、少しでも皆さんのお力になれば」と話している。
「明日への祈り」は定価1千円、送料200円。問い合わせ、注文は〒651・0096神戸市中央区雲井通5の3の1サンパルビル2F交友プランニングセンター内「現代川柳」編集部(ファクス078・413・2787)へ。(佐伯善照)