2011年4月23日15時0分
福島地裁郡山支部で3月11日に言い渡される予定だった裁判員裁判の判決が22日、42日ぶりに宣告された。直前に地震があり、延期されていた。裁判所内で被災した裁判員6人と補充裁判員2人の全員が再び法廷に集まった。
2000年4月に福島県本宮市であった強盗致傷事件の審理。地震のとき、評議を終え、判決宣告を40分ほど後に控えた裁判員らは評議室で休憩中だった。蛍光灯が割れ、ロッカーが倒れる。女性裁判員は机の下に潜り込み、男性裁判員は大型モニターを手で押さえた。
裁判員らは裁判官と一緒に隣の公園にすぐ避難。自宅に帰れなくなった裁判員3人は、裁判官が自家用車で自宅まで送り届けた。
震災から1カ月を経て、同支部が全員の安否を確認。審理ができると判断し、22日の開廷を決めた。
裁判員裁判用の法廷は天井が落ちるなど被害があり、使えるめどが立っていない。竹下雄裁判長は民事裁判用の法廷で、58歳と60歳の男性2被告にそれぞれ懲役9年を宣告した。
「この1カ月、打ち上げられた船を見たり、被災地での窃盗の話を聞いたりして、改めて命とか、人間のモラルについて考えた」。裁判員を務めた同県いわき市の自動車整備業、亀岡勉さん(44)は判決後、そう話した。「裁判員に選ばれたのに、最後まで務めを果たしていないという思いがあった。一生懸命みなで頑張って、納得のいく結論が出せて良かった」(斎藤健一郎)