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放射能汚染土壌、菜の花で再生 チェルノブイリで試行

2011年4月23日10時40分

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写真:菜の花による土壌改良を進めている農地で放射線量を計測するディードフ准教授=ウクライナ北部、玉川写す拡大菜の花による土壌改良を進めている農地で放射線量を計測するディードフ准教授=ウクライナ北部、玉川写す

 旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故で汚染された農地で、放射性物質をよく吸収する菜の花で土壌を「再生」する試みが続いている。福島第一原発事故の被災地への応用が期待されており、22日、篠原孝・農林水産副大臣が現地を視察した。

 1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発から約70キロのウクライナ北部ナロジチ地区。ソ連時代は小麦などの穀倉地帯だったが、事故による放射能汚染で農地の大半が作物栽培禁止区域となった。

 2007年、NPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(名古屋市)が地元の大学などと連携し、汚染された農地約18ヘクタールで菜の花の栽培を開始。菜の花が成長過程で土中の放射性セシウムやストロンチウムを根から吸収し、茎などに蓄える性質を利用し、土壌汚染の改善状況などを調べている。

 地元の国立農業生態学大学のディードフ准教授によると、菜の花を植えた後の土壌で小麦を栽培したところ、収穫した小麦に含まれる放射性物質の量は、何もしていない場合の半分程度に抑えられたという。

 菜の花から収穫した菜種でディーゼル燃料を、茎や菜種の搾りかすからバイオガスをつくる実験も進めている。いずれも放射性物質は出ていないという。

 ただ、菜の花も万能ではない。ディードフ氏は「水に溶けやすい性質の放射性物質は吸収するが、それ以外の放射性物質は土の中に残り、完全な土壌浄化にはならない」と指摘する。

 また、「チェルノブイリ救援・中部」の竹内高明さんは「福島の場合は放射性物質が土壌表面に集中しているが、チェルノブイリ周辺は30〜40センチの深さまで入り込んでいる。菜の花で同じ吸収効果があるかはさらに分析が必要」と言う。

 篠原副大臣は「汚染土壌の改良が簡単でないことは分かった。福島での実用化も視野に、放射性物質をよく吸収する作物、そうでない作物は何かなどを徹底的に調査したい」と述べた。(ナロジチ=玉川透)

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