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水産業再生へ「国有化」構想 宮城知事が提案へ

2011年4月23日3時0分

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 宮城県の村井嘉浩知事は、津波で壊滅的な被害を受けた水産業の施設や漁船などを国費で整備する「国有化」を進め、再生を目指す構想をまとめた。被害が甚大で、民間資金での復興は困難と判断。将来的には施設を民間が買い取り、運営母体を株式会社化する計画だ。

 23日の菅政権の東日本大震災復興構想会議で提案するが、水産庁は国有化には否定的で、被災自治体の提案は焦点の一つになる。

 漁船、養殖施設、水産加工施設といった水産関連施設の多くは、個人や民間会社の所有物。宮城県内に約1万3千隻あった漁船の9割は津波で大破し、水産関連施設の被害は集計が済んだ分だけで3936億円(22日現在)に上る。

 知事の構想では、これらの施設を国の資金で再整備。石巻市や気仙沼市に複数の運営母体を設立し、運営資金も国が支出する。実際に仕事にあたるのは地元の漁業関係者で「公設民営」に近いイメージだ。

 三陸沖は世界3大漁場の一つで、宮城県の漁業・養殖と水産加工品の生産量は2008年に全国2位。だが、男性漁業従事者約8千人の4割が60歳以上で高齢化が進んでいるため、「新たな借金をして一から立て直すのは難しい」(県幹部)という事情がある。

 再生が順調に進めば、県外も含む民間からの出資を募り、3年後をめどに株式会社化を目指す。こうした取り組みを通じて、漁業の経営基盤を震災前より強くすることも視野に入れている。

 ただ、構想の実現に向けたハードルは低くない。運営母体の具体的な設計図は固まっておらず、政府の理解が得られるかどうかは不透明。共存を目指す漁協との調整も水面下で始まったばかりだ。(田伏潤)

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