2011年4月22日15時0分
菅政権は、東日本大震災の被災者用仮設住宅の建設用地として自治体が私有地を借りた場合、国が借地料を肩代わりすることを決めた。借地料の不要な公有地だけでは十分な用地を確保できないと判断。仮設住宅の建設が進まない現状を打開するため、異例の措置に踏み切る。
これまで仮設住宅は公有地に建てられ、基本的に借地料は必要なかった。だが今回は津波被害で自宅を流された人が多いうえ、国土交通省が津波被害を受けた地域に仮設住宅の建設を認めていないこともあり、建設用地が不足。東日本大震災では、6県が7万2290戸の仮設住宅建設を要請しているが、用地の確保にめどがついたのは2万6千戸にとどまっている。
このため、仮設住宅を規定した災害救助法を所管する厚生労働省は22日までに「今般の災害による被害の甚大さにかんがみ、用地確保が困難な場合には、通常の借料の範囲内で災害救助法の対象となる」とする通知を自治体に送り、土地の借り上げ費用を国が負担する方針を伝えた。主に農地を借り上げることを想定している。
厚労省は「過去の災害で国が借地料を払った事例は聞いたことがない」(同省災害救助・救援対策室)としている。農地に建設すると作付けができなくなるが、災害救助法には補償の定めがなく、今後の課題となる。(関根慎一)