2011年4月22日14時18分
枝野幸男官房長官は22日午前の記者会見で、福島第一原発から半径20キロ圏外の避難計画を発表した。震災発生から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトを超えそうな福島県の5市町村にある地域を「計画的避難区域」に指定し、5月末までに住民を避難させる。約3千世帯の計約1万人が対象となる。
対象地域は、飯舘村の全域(対象住民約1700世帯、約6200人)と川俣町の一部(同約300世帯、約1200人)のほか、20キロ圏内をのぞく浪江町(同約500世帯、約1500人)と葛尾村(村人口約500世帯、約1600人)の全域。さらに21日まで対象外の方向で調整していた南相馬市は飯舘村と浪江町に隣接する森林地区(対象住民7世帯、10人)だけ含めることにした。
ほとんどの区域住民が新たな計画避難を迫られる飯舘村と川俣町には現地政府対策室を設置。総務、厚生労働、農林水産、経済産業の各省から計8人を派遣して常駐させる。
一方で、20〜30キロ圏内などで計画的避難区域から外れる地域の大部分を「緊急時避難準備区域」に指定した。広野町の全域と、南相馬市、田村市の一部、楢葉町、川内村の20キロ圏内をのぞく全域で、約2万4千世帯の6万7千人近くが対象になるとみられる。政権は放射性物質の大量放出などに備え、圏外避難などを準備しておくよう求めた。
菅直人首相は22日、原子力災害対策特別措置法に基づいて20〜30キロ圏内に出していた屋内退避指示の解除と、計画的避難区域と緊急時避難準備区域の設定を福島県知事や関係市町村長に指示した。
計画避難期間は22日から始まった。枝野氏は終了時期について「5月下旬がめどになる」と語った。今後、放射性物質のモニタリング結果に基づいて両区域の見直しを行う方向だ。枝野氏は避難期間について、東京電力が示した収束見通しを取り上げ「6カ月から9カ月先の段階で環境モニタリングのデータを集積、分析して見直しを行う」と述べた。