2011年4月22日16時8分
福島第一原発から半径20キロの警戒区域に加え、22日に発表された計画的避難区域、緊急時避難準備区域でも原子力災害対策特別措置法に基づき、今季のイネの作付けが禁じられた。
3区域には水田が約1万ヘクタールあり、福島県全体の水田の8分の1に当たる。コメ農家は約7千戸あり、県全体の1割。枝野幸男官房長官は「適切な補償が行われるよう政府として万全を期す」と述べた。
農林水産省は作付けを禁じる基準について、「土壌中の放射性セシウム濃度が土1キログラム当たり5千ベクレルを超える水田」と設定。県内の水田113地点の土壌の検査を実施し、飯舘村と浪江町内の計10地点が該当した。
検査結果などから農水省は、両町村が含まれる計画的避難区域について作付けを禁じることが適当と判断。また緊急時避難準備区域で基準を超える地点はなかったが、「自主的な避難を求める」という区域の性質上、稲作を禁じるのはやむを得ないとした。
土壌改良は技術的に困難で、作付けが禁止された区域は来季以降も作付けができない可能性がある。農水省はナタネなど代替作物の研究を進める。
福島県はコメ収穫量が約45万トンで全国4位。コシヒカリやひとめぼれで知られる。今回の範囲内のコメの推計収穫量は約5万トンだが、他の都道府県などに振り分ける調整を進めている。
今回の範囲では野菜などの作付けや家畜の飼育は禁じられないが、鹿野道彦農水相は「実質的には(営農は)なかなか難しい。我々としては強く補償されるべきだと求めたい」と話した。
農水省は今回作付けを認めた区域についても、コメの収穫時に検査を行い、基準を超える放射性物質が検出されれば同法で出荷を停止する方針だ。(大谷聡)