2011年4月22日0時46分
史上最悪の原子力災害となったチェルノブイリ原発事故から25年。東京都中野区の映画館「ポレポレ東中野」は23日から、核や原発をめぐる映画の特集を始める。チェルノブイリ以来の大事故となった東京電力・福島第一原発の状況を踏まえ、見合わせることも考えたが「今こそ多くの人に見てほしい」と開催を決めた。
ポレポレ東中野のオーナーは、写真家・映画監督でチェルノブイリの取材にも長く携わってきた本橋成一さん(71)。3年前からは、事故が起きた4月26日に合わせて原発や核に関する映画の特集を組んだり、オールナイト上映を企画したりしてきた。
今年は25周年にあたるため、大々的な特集を企画。昨年夏から、海外を含めたドキュメンタリーの所蔵や上映権の状況を調べ、準備を重ねた。東京都の目黒区美術館の展覧会の「原爆を視(み)る」と同時に開催し、共同企画として核の恐ろしさを伝える予定だった。
3月11日の東日本大震災で、福島で大事故が起き、その恐ろしさが現実のものとなった。目黒区美術館は「この時期にあえて鑑賞してもらう内容ではない」と展覧会を中止。ポレポレ東中野でも「不安をあおることになるのでは」との意見が出た。しかし「事故があったからこそ、実感をもって作品を見てもらえるのでは」「多くの人に原発・核問題を知ってもらいたい」と実施を決めた。
特集では、チェルノブイリの汚染地域を描いた本橋さん監督の「ナージャの村」「アレクセイと泉」のほか、核燃料サイクル施設の実態を追った「夏休みの宿題は終わらない」、劣化ウラン弾の被害を取り上げた「ヒバクシャ 世界の終わりに」など計17本を上映する。一部作品の上映後には監督らによる講演もある。期間は5月6日まで。詳しい作品の紹介、上映時間はホームページ(http://www.mmjp.or.jp/pole2)で。問い合わせは同館(03・3371・0088)へ。