2011年4月22日0時34分
文部科学省は21日、警戒区域となる福島第一原発から20キロ圏内の大気中の放射線量の調査結果を発表した。原発から3キロ付近では、毎時100マイクロシーベルトを超える地点があった。年間の被曝(ひばく)線量に換算すると、100ミリシーベルトを超える可能性がある地域が1割を超えていた一方で、避難区域の目安となる年間被曝線量が20ミリシーベルトに達しない地点も半数近くあった。
今回の線量調査は、住民の一時帰宅が可能か判断するために、文科省が東京電力などと協力して行った。20キロ圏内の9市町村を対象に、3月30日〜4月2日に50地点、4月18日〜19日に128地点で計測器を載せた車を走らせて測った。
一時帰宅が認められない原発から3キロ圏内やその近くで高い値が目立った。2回目の調査の最高値は、西南西3キロ付近の大熊町夫沢で、毎時110マイクロシーベルトだった。この値が1年間変わらずに、屋外に1日8時間いたと仮定すると、年間の被曝線量は578ミリシーベルトに達してしまう。
年間の推計被曝線量が100ミリシーベルトを超えるのは2回目の調査では128地点中17地点と、1割を超えていた。このうち11地点が原発から10キロ圏内だった。
ただし、1回目の調査では、毎時100マイクロシーベルトを超えたのは3地点あったが、2回目には1地点に減るなど、低下傾向を示していた。
一方で、北西約3キロの双葉町新山では、毎時1.8マイクロシーベルトと、原発からの距離が同じでも線量には大きな開きがあった。
20キロ圏内でも線量はばらついていた。避難区域指定の目安は年間20ミリシーベルト以上とされているが、20ミリシーベルト未満は2回目の調査の時点で、45%にあたる58地点に上った。原発から北約21キロの南相馬市原町区では毎時0.4マイクロシーベルトで、1年間浴び続けても約2.1ミリシーベルトだった。
文科省は最初の調査後、結果を公表していなかった。その理由について「調査地点などデータが足りず、混乱を生じる恐れがあると考えた」とした。(佐藤久恵、石塚広志)