2011年4月21日21時34分
菅政権は21日、東京電力と東北電力管内の今夏の最大使用電力の削減目標を、家庭、企業とも一律、前年比15%減とする方針を固めた。政府の当初案では、削減幅を大口需要家25%、小口需要家20%、家庭15〜20%と決めていたが、供給力を増強するめどが立ち、節電目標を引き下げる。
電力需給緊急対策本部(本部長・枝野幸男官房長官)を近く開き、正式に決める。
対策本部が8日発表した需給対策の骨格では、東電管内の今夏のピーク時の最大使用電力を、昨夏並みの6千万キロワットと見込んだ。一方、供給力は4500万キロワットにとどまり、不足分の1500万キロワットは、供給力の増強で500万キロワットを確保し、残りの1千万キロワットを需要減で埋めるとしていた。
その後、被災した火力発電所の復旧やガスタービン発電機の新設などによって、今夏の供給力を5380万キロワット確保できるめどが立った。同様に東北電も1150万キロワット前後と想定していた供給力が、1370万キロワットに高まる見通しとなった。
供給力の増強により、必要とされる最大使用電力の削減幅は、東電が10.3%、東北電が7.4%ですむが、政府は「ギリギリのラインではなく、一定の余裕を持った需要抑制が必要」と判断。余震による火力発電所の復旧の遅れや、老朽化した火力発電所のトラブル発生に備え、削減目標を15%減と決めた。
また、目標をさらに引き下げると、国民や企業の節電意識が薄れ、再び計画停電を行わざるを得なくなる恐れもある。このため、削減目標を15%減にとどめ、供給力に余裕を持たせたとみられる。(小暮哲夫)