2011年4月21日15時7分
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城両県で公立学校の多くが20、21の両日に再開した。21日には、仙台市沿岸部や宮城県石巻市など津波で校舎が壊滅した学校や、多数の避難者がいる学校も含めた小中高273校で始業式があった。
他校や公共施設に間借りしての再開は宮城県で46校、岩手県で25校。震災から1カ月余りでの始業が困難な学校も多かったが、年間の授業時間数の確保が難しくなるため、準備を急いだ。遅れは、各校が夏休みの短縮や土曜授業などで補うことになる。
午前7時25分、石巻市雄勝町の船越小学校のそばから2人の児童が観光タクシーに乗り込んだ。校舎は津波で壊滅。間借りしている高校に通う「スクールタクシー」だ。がれきと海に挟まれた一本道を含む25キロの道のりを1時間近くかけて通う。新6年生の大槻勇綱君(11)は「春休みがいつもより長かったから学校が楽しみ。遠くなったけど勉強できればいい。苦手だけど。野球をいっぱいしたい」。始業式で菅原信彦校長は「地震の後、電気がなかったり水道がなかったり、大変なことがありました。でも、みんなはこの1カ月を頑張れたから、この1年もきっと頑張れると思います」と語りかけた。
岩手県大船渡市の市立蛸ノ浦小学校では21日午前、津波で校舎が使えなくなった同市立赤崎小学校との合同入学式があった。両校合わせて24人の新入生が、仮設住宅の建設が進む校庭に元気な姿を見せた。
入学式があった体育館には、支援物資が積み上げられたまま。それでも、名前を呼ばれた新入生が元気に「ハイ」と声を上げる姿を、2人の校長は目を細めて見守った。津波で家財を流され、岩手県内の貸衣装店が無償で提供した「晴れ着」で出席した子もいた。
赤崎小の校区は津波で大きな被害を受けた。新入生や家族は無事だったが、校区外の避難所に入ったり、内陸の親戚宅に身を寄せたりして、3月上旬の時点で20人だった入学予定者は15人に減った。
スクールバスが赤崎小の児童を送迎し、授業は蛸ノ浦小の新入生と一緒に受ける。教員は各学校に配置されているため、2人が担任に就く。赤崎小の千田智明校長は「元気そうに見えても、心は相当傷ついている子もいる。両校の教師が協力して見守っていきたい」と話した。(平井良和、相江智也)