2011年4月21日
クールビズという言葉は、ここ数年ですっかり定着した。特に昨年の夏は、統計が始まった1898年から113年間で最高の猛暑を記録したこともあり、ノータイで過ごすビジネスマンは更に増えたようだ。特に今年の夏は、節電のため、エアコンの温度設定を若干高めにするオフィスが増えることも予想される。そこで今回は、涼しい着こなしについて考えてみたい。
多くのビジネスマンは、普段のスーツスタイルからネクタイを外せばクールビズになると思い込んでいる。ところが、夏の着こなしのポイントはそれだけではない。まずは、パンツ。スーツではなくジャケット×パンツ、もしくはシャツ×パンツといった着こなしが増えるこの季節には、パンツの重要性はことさらに増してくる。股上は深すぎず浅すぎず、ノープリーツのパンツがスマートに見える。プリーツの入った太目のシルエットのものをはいているビジネスマンがまだまだ多いが、きちんとサイズの合ったパンツを選ぶだけで着こなしは数段美しくなるのだ。
イセタンメンズのオーダーパンツなら、文字通りのジャストサイズが入手できる。素材やディテールによって価格は異なるが、まずはオーセンティックなグレーパンツをオーダーしたい。メンズのパンツ専業メーカーであるエミネントが提案する、夏仕様のパンツもおすすめ。通気性を考えた素材づかいやメッシュ裏地に加えて、汗をかきやすい腰や小股の部分にデオセルという消臭繊維を採用するなど、高い機能性が特徴だ。
次に、シャツについて。今年の夏は、ニット素材の白シャツが流行しそうな気配。見た目はこれまでのドレスシャツと変わらず、着心地は鹿の子編みのポロシャツのような柔らかさ。ここ数年ヒットが続くジャージ素材ジャケットと同様に、着たときの快適さでファンを増やしているのだ。なかでもインダスタイルは、半世紀以上の歴史を誇る老舗メーカーである丸和繊維工業が手がけるニットドレスシャツのブランド。体の動きを妨げない立体的な裁断で、着用時の引きつれが起こらないのも人気のポイントだ。
これらのアイテムで涼しい着こなしを心掛けたとしても、それでも汗をかいてしまうのが夏。ハンカチはコットンとリネンの混紡素材で、シャリ感のある肌触りのものを選びたい。青×白のストライプなら、見た目の涼しさから、爽快感も増してくれそうだ。
朝日新聞出版・新事業開発チームeditor at large兼 アエラスタイルマガジン編集長。
男性ファッション誌「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などの編集を手掛けた後、2008年4月の会社設立と同時に朝日新聞出版に入社。ニッポンのビジネスマンに着こなしを提案する季刊誌「アエラスタイルマガジン」を、クロスメディアで展開している。
2011年春号 Vol.10
2011年春版 スーツ/ジャケット着こなし事典