2011年4月20日9時31分
夏場の電力不足に備え、消費電力が少ない発光ダイオード(LED)照明の需要が急増している。割高でも節電をとのムードで店頭販売は昨年の倍以上。企業向けレンタルも現れた。メーカーも増産に動く。
LED照明の売り場を目立たせるビックカメラ有楽町店。買い物客は次々に電球を手に取り、値段や節電効果を尋ねる。販売担当者は「震災前よりも節電効果が高い商品を買う人が多い」と話す。ビックカメラ全体でLED照明の販売数は東日本大震災前の約3倍に増えたという。
LED電球の消費電力は最大で白熱電球の10分の1まで抑えられる。安い商品でも白熱電球の10倍程度ほどの値段だが、消費者は東日本大震災や計画停電で節電効果を重んじ始めた。調査会社GfKジャパンによると、4月4〜10日のLED電球の販売数は全国で前年同期の2.2倍。関東・甲信越地区は2.8倍にのぼっている。
LEDへの切り替え負担が重い企業向けのサービスも登場した。ヤマダ電機は1日、「あかりレンタル」と銘打ち、LED照明を5〜8年間貸し出すサービスを投入。営業担当者は「レンタル料をあわせても従来の電気代よりコストを抑えられる」という。初年度に10億〜20億円の売上高を見込むが、「もっと大きな事業になる可能性もある」。
メーカーは増産を急ぐ。NECライティングは企業からのLEDランプへの交換依頼も増え、中国の協力工場を活用する。照明器具大手の遠藤照明は、2011年度中に中国の工場の生産能力を月20万台に倍増。ダウンライトなどの生産量を引き上げる。同社は「少しでも節電に貢献できれば」と話す。(角田要、大宮司聡)