2011年4月19日20時46分
茨城県つくば市の一部の職員が、福島第一原子力発電所の事故後に福島県などから避難してきた転入者の一部に、スクリーニング(放射線検査)を受けた証明書の提示を求めていたことがわかった。
同市はそうした定めは設けておらず、職員の勘違いだったという。転入者から抗議を受けた市は「不適切な対応があった」として、誤った対応をしないよう職員に指示した。
同市では、福島第一原発で大規模な水素爆発があった3月14日以降、福島県などから一時は約600人が避難してきた。避難所に入る際には任意でスクリーニングを受けるよう呼びかけ、受けた人には、異常がないことを示す証明書を配布した。転入希望者についても17日、健康確認のため保健所で任意で検査を受けるよう呼びかけることを市民課が5カ所の窓口センターに文書で通知した。
検査の実施や異状の有無は転入者の受け入れと一切関係ないが、市の説明によると、窓口センターの一部の職員が証明書を転入の条件と勘違いし、転入者に提示を求めたという。今月11日に仙台市から転入を希望した男性から抗議を受け、発覚。男性の転入届も受け付けたという。
茨城県は3月17日、県内の市町村長に対して、県外からの避難者へのスクリーニングは不要との通知を出している。
同市の市原健一市長は4月19日の会見で、「避難者や市民に不安を抱かせないために検査を紹介したが、一部の対応が誤解を生んだことは心から申し訳なく思う」と陳謝。市内の公務員宿舎などを被災者に提供する計画もあるため、「今後も最大限、被災者を受け入れたいと思っている」と話した。
19日の記者会見でこの問題を問われた枝野幸男官房長官は「明らかに過剰な反応だ。原発周辺地域をはじめ福島の皆さんは避難を余儀なくされ、風評被害も受けて苦労している。温かく受けいれていただきたい」と述べた。