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日米、復興協力で合意 原発事故収束でも連携

2011年4月18日2時4分

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写真:会談後の共同会見で写真撮影に臨む松本剛明外相(中央右)とクリントン米国務長官。右端は米倉弘昌・日本経団連会長、左端はドナヒュー全米商工会議所会頭=17日午後2時20分、東京都港区の飯倉公館、越田省吾撮影拡大会談後の共同会見で写真撮影に臨む松本剛明外相(中央右)とクリントン米国務長官。右端は米倉弘昌・日本経団連会長、左端はドナヒュー全米商工会議所会頭=17日午後2時20分、東京都港区の飯倉公館、越田省吾撮影

 クリントン米国務長官は17日来日し、松本剛明外相、菅直人首相とそれぞれ会談した。外相会談では、日米が東日本大震災の被災地の復興に向けて協力する「官民パートナーシップ」を進めることで合意。その後の首相との会談では、福島第一原発事故の収束に向け緊密に連携することで一致した。 

 復興に向けた官民パートナーシップは、米側の提案を受けて外相会談で合意した。日米の経済団体、企業、シンクタンク、NGOなどが幅広く協力し、「政府も関与する形で促進する」(松本外相)枠組みとする。今後については、外相会談後の共同会見に同席した日本経団連の米倉弘昌会長が「米国側の経済界と詳細な詰めを話し合っていきたい」と説明した。

 会見には、全米商工会議所のドナヒュー会頭も同席。米フロリダ州で休暇の予定だったが、クリントン氏から呼ばれて同行した。クリントン氏はこの同行について「我々が『日本経済は完全に回復する』と確信している証し」と説明。ドナヒュー氏も「日本で活動している外国企業、米国企業はこれからも百%関与していくべきだ」と訴えた。

 米側は、今回の日米外相会談に先立ち、福島第一原発の半径80キロ圏外を対象としていた渡航延期勧告を解除。クリントン氏は「ビジネスマン、その他の米国人たちが平常通り、ビジネスなどでぜひ日本に行ってくださいという対応だ」と述べ、経済支援の一環との認識を示した。松本氏も米側の対応を「前向きなメッセージの積み重ねが復興の歩みを促進する」と評価した。

 一方で、クリントン氏は共同会見で、原発対応での米側の支援活動についても言及。「前代未聞の規模の危機だ。我々の専門家はそういう認識だ」と述べ、原発事故は楽観できる状況にないという見方を強調した。

 米側が懸念する原発の見通しについて、この日、東京電力が事故収束に向けた工程表を発表。日本側としてもクリントン氏に一応の見通しを示すことにはなった。だが、外務省では、事前に東電の発表内容を十分把握しておらず、外相会談の直前になって工程表を入手し、米側に渡すというあわただしさだった。外相会談で松本氏は、東電の発表予定は伝えたが、内容は説明しなかったという。

 クリントン氏は外相会談、共同会見後に首相官邸で菅首相とも会談。首相も「東京電力が事故の収拾に向けたロードマップを明らかにした」と説明。さらに「事故から得た教訓を国際社会と共有して役立てる責務がある」と表明した。クリントン氏は工程表に関してはコメントはしなかったが、「日米間で緊密に連絡をとりあっていきたい」と応じた。

 この会談では、クリントン氏はオバマ米大統領の「米国としてあらゆる支援を提供する強い決意である」とのメッセージを首相に伝えた。

 日本側の説明によると、首相は会談で、次回の首相訪米の際に被災地の復興と原発事故の対応について「より深い議論をできれば」と語った。沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題については言及がなかったといい、復興と原発対応が日米同盟の「新たな課題」として前面に出つつあることを裏付けた。(鶴岡正寛、伊藤宏)

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