2011年4月15日23時58分
東日本大震災で多くの生徒が被災した福島県立相馬高校の2〜3年生42人が14、15日、東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)を訪れ、講義を受けている。始業が遅れるなか、震災に負けずに勉強意欲を高めてもらおうと、経済学部の松井彰彦教授らが企画し、研究費で招いた。
同校では、3月1日に卒業した生徒のうち、震災で1人が死亡、1人が行方不明になった。新入生を含め全校生徒の約15%にあたる約100人が自宅に住めない状態で、8日に予定されていた始業式は18日にずれ込んでいる。
福島県相馬市の海沿いに住む2年生の島敬太君(16)は、津波で自宅を失った。兄が職場近くで借りていたアパートに両親と避難している。14日に「ゲーム理論」の実験と講義を体験した島君は、「単純に答えが出ないのが、すごく面白くもあり、難しくもある。大学の雰囲気が分かった」。医学部志望だといい、「震災で大勢の人が亡くなり、人の命を助ける医師になりたいという思いが強くなった。がんばって勉強したい」と話していた。
一行は16日まで都内に滞在し、都内の高校生と交流したりして過ごす。大手予備校の代々木ゼミナールが教材を提供した授業も受ける。(花野雄太)