2011年4月13日19時48分
東日本大震災の義援金の扱いを決める宮城県の委員会が13日開かれ、配分先や金額、事務手続きなどの決定が先送りされた。配分の前提となる死者数や家屋の倒壊状況が把握できていないためで、被災者への支給は遅れる見通しだ。
「迅速に届ける必要があるが、行方不明者数などの特定が難しい」「住家被害の状況も見据える必要がある」。県庁で開かれた初会合で、被害状況が分からないことに戸惑う声が市町村関係者らから相次いだ。
13日現在、宮城県内の死者と行方不明者は計約1万6千人だが、人口の多い仙台市は行方不明者数が未確定。住宅被害も、県には全壊約3万7千戸との報告があがっているが、被害が甚大だった沿岸部の10市町は「調査中」だ。
被災者への支給方法も難問だ。県幹部は「現金を避難所で手渡すのは防犯上、問題がある」とし、振り込みを想定していることを明らかにした。しかし、地域によっては金融機関の建物が損壊し、通帳を失った人も少なくない。
県が直接受け付けた義援金は8日現在、約72億5千万円。県は政府の配分委員会が決めた「死亡・行方不明35万円」「住宅全壊35万円」などに5万〜10万円を上乗せする支給方法も示しつつも、「現時点では留保とさせていただきたい」と提案した。被害額が膨らめば、義援金が足りなくなる恐れも指摘された。
委員会では「国の上乗せではなく、よりこまやかな配分を」との意見も出た。被災者への早期の支給を求める意見も出たが、結論は先送りされた。(高橋昌宏)