2011年4月13日17時57分
大阪市中心部で「レンタルオフィス」と呼ばれる短期契約の簡易型オフィスが引っ張りだこだ。東日本大震災の影響で、東京など首都圏から本社や中枢機能を移す需要が高まっているためだ。
レンタルオフィスは、月単位で事務スペースを借りることができ、契約の翌日から入居が可能。「手軽さ」と「便利さ」が売りで、家具やIT設備も完備し、共有の会議室なども必要に応じて借りられる。
全国展開する大手のサーブコープジャパン(東京・新宿)は、大阪市内3カ所で、10人程度が入れる事務スペースをそれぞれ数十単位で確保し、貸し出している。大阪・心斎橋と江戸堀のオフィスは震災前は7割を切る稼働率だったが、震災後は「全く空きがない状況」(小川紅葉〈くれは〉・日本シニアマネージャー)という。
借り手の中心は、外資や海外の政府機関。ふつうは1社あたり数十人規模だが、「100人を超すような規模での問い合わせも受けている」(同)。首都圏などで今夏予想されている大幅な電力不足の問題を受けて、3カ月間の短期契約を変更し、6月以降も延長する申し込みが増えているという。
大阪市内に2カ所のレンタルオフィスを展開する日本リージャス(東京・新宿)も移転需要の増加を受け、震災前は会議室として運営していた部分を事務スペースに変えるなどして対応。貸し出しができる面積を1.7倍以上に増やしたという。
ただ、こうした「移転」の動きは一時的なものにとどまっている模様で、通常のオフィスビルの空室率は依然として高い水準だ。(佐藤亜季)