2011年4月12日6時25分
金融庁は11日、東日本大震災の被災地にある金融機関に公的資金を入れた場合、返済期限を延長する検討を始めた。今の「15年以内」を10年ほど延ばす。復興に必要なお金を長期にわたって貸し出せるよう、負担を軽くするねらいだ。
金融庁は金融機能強化法の改正案を今国会に出し、被災地の金融機関が公的資金を申請する場合の特例を設ける。これまでに、経営者の責任を問わないことや、2012年3月としている申請期限を数年間延長することを検討している。
さらに、返済期限を延長する▽申請時に出す経営強化計画の期間を3年から数年延ばし、収益の回復に時間がかかってもよくする▽融資のうち中小企業向けの割合を高くするという目標を緩める、などを検討し始めた。改正案や政令改正に盛り込む方向だ。
これらの特例は、公的資金を申請しやすくするねらいがある。公的資金で被災地の金融機関の資本を手厚くするなどして、被災した企業や個人に必要なお金を貸せる環境をつくる。
被災地の金融機関では、まず宮城県を地盤にする仙台銀行(仙台市)が11日、公的資金を申請する方針を決めた。震災前から、11年3月期連結決算の純損益は地域経済の低迷で23億円の赤字予想だったが、震災が追い打ちをかけている。
71店舗のうち、今も10店舗が営業を停止している。沿岸部の気仙沼市や南三陸町などの5店舗は、再開のめどすら立たないという。
融資先にも、地震や津波で営業の見通しが立たない企業が多い。仙台銀の担当者は「業種を限らず、復興に向けて多くの資金が必要になるのは確実です。復興に向けて万全の態勢を整えたい」と言う。
金融庁は、被災地の他の銀行や信用金庫、信用組合からも同様の申請が相次ぐとみて準備を進めている。ただ、金融機能強化法の公的資金枠は11兆円以上残っているため、資金枠の増額は見送る方針だ。(大平要、寺西和男)
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〈仙台銀行〉 1951年に振興無尽として設立。振興相互銀行を経て89年に普通銀行となり、仙台銀行に改称。2010年3月末の預金残高は7578億円、融資残高は5129億円。10年3月期連結決算の純利益は10億8500万円、自己資本比率は8.56%。