2011年4月12日0時55分
政府の地震調査委員会が11日開かれ、東日本大震災を起こした地震の震源域が三陸沖から茨城県沖まで及び、従来の予測を超えていたと判断。委員長の阿部勝征東京大名誉教授は、房総沖も含めて将来どんな地震が起きるかの予測を見直す方針を明らかにした。
地震調査委はこれまで、巨大地震が起きる海溝型地震について、将来起こる確率や規模を予測してきた。三陸沖から房総沖にかけては八つの震源域に区切って検討。それぞれ別々に地震を起こすと予測。複数が連動すると想定したのは「宮城県沖」と、その沖の「三陸沖南部海溝寄り」だけで、連動してもM8前後との予測にとどまっていた。
今回は六つの震源域がいっぺんに動いた。地震調査委は、869年に大津波を起こした貞観の地震を踏まえ、見直しが必要か検討を始めていたが間に合わなかった。阿部委員長は「世界でM9が起きても、日本では起きないと考えてきた。学問的なパラダイムに縛られていた点は大きな反省だ」と話した。
今後は、三陸沖から房総沖の地震について見直しを進める。過去に起きた地震が再び繰り返されるかを中心としてきた予測手法についても議論するという。
東海や東南海、南海地震など、南海トラフで起きる地震の予測を見直すかについて、阿部委員長は「時間をください」として、即答を避けた。現在の評価では、東南海地震の規模はM8.1前後、南海地震はM8.4前後。両者が連動した場合の規模はM8.5前後と予測している。
調査委は、今後もM7を超える余震が起きる可能性を指摘。今回の震源域の周辺でM7〜8の地震が誘発される可能性もあるとして、注意を呼びかけた。(鈴木彩子)