2011年4月11日6時26分
「不明者発見」の声ががれきで埋め尽くされた水田に響いた。被災地で救援活動を続ける陸海空自衛隊の統合任務部隊は10日、岩手、宮城、福島各県で2回目の行方不明者の集中捜索を実施し、日没までに86人の遺体を収容した。東日本大震災の発生から1カ月。行方の分からない人はなお1万人を超え、終わりの見えない捜索が続いている。
宮城県東松島市の大曲地区。海に近い住宅地に隣接する水田地帯は、津波で流された民家のがれきが大量に広がっている。捜索に当たるのは第6戦車大隊の隊員ら400人近く。重機も使うが、多くは手作業だ。朝、隊員が見つけた遺体は土の中に埋まり、すぐには掘り出せなかった。
流れ着いた民家は、もとは2キロ以上離れた海沿いにあった。散乱したはがきなどから分かるという。部隊は大曲に来て3週間で50人近くを発見。幼い子どももいた。
遺体を収容した日、隊員たちは作業後の話し合いで思いのたけを語り合うことにしている。張りつめた心を少しでも癒やすためだ。現場で指揮する馬場正人1尉(36)は「ほかの隊員と気持ちを共有することで安らぎますから」。
集中捜索の1回目は沿岸地域に3日間にわたって人員や航空機を集めたが、今回は支援活動への影響を抑えるため1日だけとした。
これまでの捜索で発見数の多かった水没地、がれき地帯などに集中させ、約2万2千人、航空機約90機、艦艇50隻が捜索にあたった。
前回、航空機20機、艦艇15隻で捜索に加わった米軍は、今回は総員110人、航空機2機にとどまり、艦艇は参加しなかった。(川端俊一)