2011年4月11日0時46分
統一地方選の前半戦の平均投票率は、知事選が52.77%で戦後2番目に低く、道府県議選は48.15%で戦後最低を更新し、初めて40%台に落ち込んだ。三つの「やはり」が口をつく。
一つは「震災だから」。いまも避難者は15万人を超えている。原発事故に余震も続き、停電の混乱もあった。街頭演説が、はばかられた地域もある。震災で住民の連携の大切さや自治体の役割が見直されたものの、なかなか選挙モードには切り替わらなかった。
二つめは「知事選が地味だから」。現職が強く、勝敗が見えていれば、投票所への足も遠のく。その責任の過半は民主党にある。首都決戦に独自候補なしでは「選挙放棄」に等しい。これでは、道府県議選でも敗北するわけだ。
三つめは「議会不信だから」。41道府県議選のうち34道府県で戦後最低だった。昨年来の名古屋市などでの「首長VS.議会」で噴出した議会批判の根深さを裏付ける。だが、これは実は長年続く傾向だ。
なにしろ栃木は32年前の1979年から9回連続で最低記録を更新している。青森、群馬、長野は8回連続。秋田が7回、山形、石川は5回、鳥取が4回連続のワースト記録である。岐阜、静岡、和歌山、山口、愛媛、長崎、熊本、大分、鹿児島も3回連続だ。
止まらない下落ラッシュは、有権者が「県議とは何なのか」という疑問を募らせ続けている証しだ。
今回、島根では定数の7割、岐阜で4割、山形、香川の3割強が無投票で選ばれた。全国平均も2割弱。有権者に選択の機会を与えなければ、民意との距離は広がるばかりだ。
高い支持率の首長が率いる地域政党が議席を大幅に増やした大阪と愛知でも投票率は40%台だ。愛知は戦後最低だ。そんな低率でも議会の顔ぶれを大きく変える結果になった。
一連の結果から見えてくるのは、全国に鬱積(うっせき)する「議会不信」の巨大さである。このまま増幅すれば、いずれ議会不要論やカリスマ首長待望論に行き着きはしないかと懸念せざるを得ない。(編集委員・坪井ゆづる)