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高級クラブ・すし屋…銀座は閑古鳥 被災地復興に影響も

2011年4月10日15時5分

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写真:客が減っている銀座のクラブ街=6日午後7時59分、東京都中央区、吉本美奈子撮影拡大客が減っている銀座のクラブ街=6日午後7時59分、東京都中央区、吉本美奈子撮影

写真:客が減っている銀座のクラブ街には閉店を知らせる張り紙もあった=6日午後7時14分、東京都中央区、吉本美奈子撮影拡大客が減っている銀座のクラブ街には閉店を知らせる張り紙もあった=6日午後7時14分、東京都中央区、吉本美奈子撮影

 東日本大震災による自粛ムードで、東京・銀座も客足が激減している。高級食材やブランド品を消費してきた、日本を代表する繁華街の低迷は、食材の有力供給地でもある被災地の復興にも影響を与えかねない。

 午後7時すぎ、高級クラブがひしめく銀座7丁目の西五番街通り。人通りはあるが、酔客よりホステスや客引きの姿が目立つ。

 ビル2階の高級クラブ。金色の照明が、高級ブランデーが並ぶガラス棚をキラキラ輝かせる。しかし客の姿はない。店長は「開業から8年ほどになるが、状況は一番悪い。知っている店だけで3軒が震災後に閉店した」と話す。

 今年に入って売り上げが上向いたところへ震災が起きた。客数は半減し、常時12、13人出勤させていたホステスを6人に絞り、客を店に連れて来られないホステスを自宅待機とさせた。だが基本給や家賃は店の負担だ。「景気が戻らなければ、うちも危ない」

 「ぎんざ寿し幸」も接待客は普段の半分ほど。震災に被災した東北産の食材が入らなくなった。岡田茂店主(37)は「名物の卵焼きに使う、気仙沼(宮城県)のサメのすり身が一時ストップして困った」と話す。

 銀座の中小企業を支援する東京商工会議所中央支部には、資金繰りに困る飲食店経営者の相談が増えてきた。「急場で資金が必要になる店が出ている。いま大丈夫でも、ぎりぎりで手遅れになるケースが怖い」

 回復が鈍いのは、上客だった企業経営者らが銀座に戻ってこないからだという。「自社で震災後の対応に追われているうえ、周囲の目を考えると、外食どころではないのでしょう」と日本料理店の料理長。

 東北の被災地は、高級食材の生産地として銀座の高級店の需要に応えてきた。東北の牛肉を多く扱う吉沢畜産(東京都港区)の吉沢直樹社長は「畜産は被害が少なく、いまも牛肉は東北からも潤沢に入っている。なのに外食がふるわないため、ロースなど高級部位が売れない」と嘆く。

 中華料理店「維新號」4代目の鄭彬さん(32)は「100年以上、フカヒレは気仙沼産一本でやってきた。お世話になった被災地を復興させるためにも、我々も商売をがんばるしかない」と話した。(五十嵐大介)

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